高く高く 天(そら)目指し 凛と立つ蓮華なり 寂しさは水鏡 時忘れの京(まち) 滲む現実(いま) キミの下宿(やど) 漱石が 栞より先に進まない 借りたままの鞄抱いた 懐かしい匂いした ふと見かけた日々の奇蹟 伝えたいキミがいない ごらん今日は 宵山で 重ねた歳数える 泥に負けぬ人でした 穢れなき蓮華なり 「大丈夫」「平気だよ」 薄氷の笑顔 貫いた 人は皆 知りながら 戻れない河を渡るもの 石畳に染みる光 永遠を感じたから 渡る鳥が夏を告げて 鐘の音が背中押した 時間の鼓動 止めたくて 耳を塞ぐ されど 自分の鼓動(むね)が響くから 忘れない この先も 変わらぬ面影も 霞みゆく 名残月 キミがまだここにいるような夜