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生ける宇宙

Track by犬式

36
1
  • 2024.03.17
  • 6:53
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歌詞

現在、科学の最先端で、 注目に値する一つの洞察が 登場しつつある。 それは、宇宙は、 そのなかに存在するすべてのものと 共に、 生物にも似た一貫性を持つ 一つの総体をなしているという 洞察だ。 宇宙に存在するすべてのものは 互いに結びついている。 ある場所で起こるすべてのことは、 ほかの場所でも起こる。 あるとき起こるすべてのことは、 ほかのすべてのときにも起こる。 そして、 かつて 起こったすべてのことの痕跡は、 消え去ることなく永らえる。 今日ここにあっても明日は 消えてしまうような、 完全に無常なものなど存在しない。 宇宙は、 つながりのない個別の物や 出来事からなる世界ではない。 外側にいる観客が、 魂に訴えかけもしない見世物をただ 眺めているようなものではないの だ。それは、 統合された一つの全体である。 古典物理学が構築した 魅力のない世界 [“マテリアルな世界”] のように、物質と、 生命や精神の領域とは 互いに分断されてなどいない。 物質ー素粒子が集合して 原子となり、 原子が集合して分子となり、 分子が集合して細胞になり、 細胞が集合して生命体をなす、 というような 「もの」ーは、 ばらばらに独立して 存在しているのではない。 それどころか、 それ自体が実体をそなえた 存在ですらないのである。 [“無と空”] 堅固に見えてはいても、 つまるところ物質とは、 量子化された波束[“波の束”] としてまとまった エネルギーであり、 これらの波束がさらに集まって、 世界を構成する巨大な調和した 構造物をなしているのだ。 物質の振舞いを理解すればすべてを 知ったことになるという、 かつての物理学やマルクス 主義理論に共通する信念は、 詭弁以外の何ものでもない。 こうした考え方は今や 完全に時代遅れとなった。 宇宙は、科学者、技術者、 マルクス主義者たちがかつて 推測していたよりもはるかに 驚異的である。 また、 宇宙の相互結合性と一体性は、 SF作家の想像力をはるかに超えて、 深く徹底的なものだ。 たとえば人間の身体は、 約一〇〇〇兆個の 細胞からできているが、 これは銀河系を構成する 恒星の数よりはるかに多い。 この細胞のうち、 毎日六〇〇〇億個が死に、 同じ数の細胞が新たに生み 出されている。 平均的な皮膚細胞の寿命は 約二週間で、 骨細胞は三ヶ月ごとに生まれ 代わる。 九〇秒ごとに 数百万個の抗体が合成されるが、 それぞれの抗体は 約一二〇〇個のアミノ 酸でできている。 また、 一時間ごとに二億個の赤血球が 再生産されている。 米国オークリッジ国立研究所が 行なった 放射性同位元素分析によれば、 一年間で、 生命体を構成する原子の九八 パーセントが入れ替わるそうだ。 心臓や脳の細胞は他の細胞よりも 長生きするとはいえ、 身体のなかに存在するもので 不変なものなどない。 英国の生物物理学者メイワン・ ホーは、 生命体を構成しているさまざまな 部分は、 いかに多様性が高かろうが、 すべての演奏者がほかのすべての 演奏者の即興に対して即座に、 しかも自然に反応する、 一つのジャズバンドのように 振舞うと述べている。 身体が奏でている 「音楽」は、七〇オクター ブ以上もの広がりを持っている。 これは、局所的な化学結合の振動、 分子ホイールの回転、 微小繊毛の波打ちのような 往復運動、 電子や陽子の流れの伝播、そして、 細胞内や細胞間で、 一〇〇億倍もの幅にわたる、 じつに広範囲な 大きさの範囲で(つまり、 最も大きなスケールが、 最も小さな スケールの 一〇〇億倍だということ) 起こっている、 代謝産物やイオンの流れによって 構成された音楽だ。 生命体が 生きているかぎりこの音楽が 止むことはなく、 繰り返されるリズムとビート、 そして、果てしない変奏によって、 個々の生命体の和声と旋律を 表現している。 生命体のジャズバンドは 状況に応じて、自然に、 しかも即座に、キーを変え、 テンポを変え、また、 旋律さえも変えることができる。 その音楽の基本的な構造は 維持されるが、 その芸術としての真髄は、 すべての演奏者が 他のすべての演奏者と完全な調和を 保ちながら最大の自由を満喫する 即興にこそある。

7曲 | 2024

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