ささやきは 川のなか 溶けてゆく 水のなか さざなみに よろめいて 倒れ込む 思い出のなか 波と波とのあいだ 夢はとなりあう 痛みに赤らむ 肌を 水はいたずらに洗い さます 上から下へ 降りる 流れ落ちる 滝は 胸に 注がれ いずれは海まで 名も知らぬ あなたの指先が浸される (溶けあって) 喜びに満たされ (触れあって) 嘘も帳尻あわせ 削られたら シー・グラス まるで雫の化石のような光で 折れ曲げた 昨日を透かして 腕をすり抜けて 立ち去って 魚の姿 そのかがやく 尾を掴むことができたら 脈打つ小さな心臓の重さを 思い出すことができたら 叶わぬ望みだろうか 濡れた両目が見たのは 鼓動のありか (見つけたんだ) それは凪いだ 波と波とのあいだ ささやきは 川のなか 溶けてゆく 水のなか さざなみに よろめいて 倒れ込む 思い出のなか