宵は気紛れ 泡沫の夢ばかりを詠んで ひとは靡いて 仮初を囲んでは踊った 隠して その祈りは 届かぬように 君の燃ゆる手 悠遠に捧げる眼差しが あれは欲しくて 彼方へと誘いをことづく 打ち寄すその痛みで 目醒めるとき うつろに重なって 波に盗られるまえに 影を落とし君を愛す月など 壊して 須臾の島よ 声を抱いて 現の両手が微睡むまで そして暁 色褪せて縺れる陽炎を 傷は乾けば 花の香を残して解くように 刻み込んで わたしを 呪いみたいに 渦まき連れてゆく 二度と戻れぬ場所へ あの果実が舌を染めて 孤独が芽吹いた 空の船はゆりゆられて 軌跡を運ぶわ 枯れることもない音色が しるべを灯して 須臾の島よ いまは哭いて わたしを焦がして ただ見送る その旅路を 雫が海へ還る日まで