雨上がりの夕暮れに バスを待っていた いつものように 子供をしかりつける母親の声 錆びた時刻表 何を境にいつから大人になったのか 思い出せないまま 約三分遅れている バスにいらだっている すべてはうまくは進まない やさしさを打算的に 考えるようになったのかな 僕もあなたも バスの中では はしゃげない 一番奥の席で 外を見ていた 頬杖ついて 未だ生けずじまいの店 工事現場 そしてなくなった古い喫茶店 まるですべての出来事に 気付かないように バスは行き過ぎる そんなふうにして 僕はこの先も 暮らしてゆくのかな 人目を気にしてしまうから 僕が僕でなくなってゆく ひと駅前で降りて すこし外の風と歩こう やさしさを打算的に 考えるようになったのかな 僕もあなたも バスの中では はしゃげない ひと駅前で降りて すこし外の風と歩こう