時は鐘なり いざこまやかに聞こえむ 桜吹雪 春の夜の夢現 恋焦がれ 貴方ばかりを思ひ寝の寝らえぬに 夜涼蛍火 頼りに綴った秘めた恋心 数多の暦を 指折待つとも 隠れて吊るした たんざくに願い込めて 遥か遠く果ての無い空の向こう 出でしき日より帰り待つ 時折、いと不安も抱くでしょう 貴方の手枕思ひ眠る 「辞世句斉唱」 いざ吾は死なむ 我 背生けりとも 我に戻るべしと言ふとはなくに… 辞世句ここに在り… 君来むと言いし夜ごとに過ぎたり 雪解け四方の春 幾度と周った二十四気の暦 夜な夜な乙女が 花弁ちぎれば 色あせたたんざくが 寂しげに風に舞う 遥か遠く果ての無い空の向こう 出でしき日より帰り待つ 時折 夜半思い出して泣きます もう二度と帰らない手枕 貴方の死出の旅 御供しとうと 覚悟 花かざし 死化粧を いざかし手を取りてあの世で 恋結ばれとうと 召す とりかぶと…