朱殷ノ獄門

歌詞

ひとつ、想ふは貴女一人 ふたつ、又逢ふ日を楽しみに 悪夢の記憶を断ち斬るやうに あの日の儘(まま)の占いごつこ 朱い華弁 千切つては投げ 裂ける舌(ぜつ)、 体(たい)返り血浴びて 咲かる炎の火の粉の如く 恨み晴らさでおくべきか 悲願を刻んだ打掛 羽織つて そこのけそこのけ雀が通る 魑魅魍魎を両手に携へ 竹藪焼くのは悲願華 執念燃やすは藁人形 四十九日も通ひ続けた 大きな葛籠の在処を示し 今 静聴せよ 恨み譜 かごめ かごめ 宿の中の姉雀 うしろの正面に 今は昔 風に揺れた華弁 ただひたすらに 恋しい影 背中を追つた 輪廻の華言葉に誓はう 地の果てまでも響かせる 呪詛(こえ) 「静聴セヨ！ 己ガ影ニ憑(ﾄﾗﾜ)レタ諸君ニ告グ 此処ニ掲ゲル宣戦布告ハ 戯言ニ非ズ。 積年ニ募リシ 怨毒(ｴﾝﾄﾞｸ)ノ念ハ 彼ノ者ノ臓物(ﾊﾗﾜﾀ)ヲ以テ 贖罪ト為スノデアル。 捜セ、縛レ、 五寸の詛(ﾉﾛｲ)ヲ打チ付ケヨ 生キタ儘叫喚ノ苦シミヲ 刻ミ込ンデ呉レヤウ。 仮令(ﾀﾄｴ)此ノ喉裂ケヤウトモ 必ズヤ…必ズヤコノ手デ 復讐ノ共闘戦線ヲ成シ遂ゲ 阿鼻無間の傀儡(ｶｲﾗｲ)地獄ヘト 引キズリ堕トシ 手向ケノ華ヲ… 鬼哭啾啾(ｷｺｸｼｭｳｼｭｳ)ノ 赤蝕(ｾｷｼｮｸ)ヲ以テ 凶ツ浮キ世ヲ 染メアゲルノダ。」 あの日 五つのお祝ひに穿ひた(はいた) 袴と細ひ指 蝶々結びが美しく 解くのが何故か嫌だった 賽(さい)の河原の白昼夢 名を呼ぶ声 谺(こだま)して 眩舞う(めまう)視界 捕らう間に あの人の仇討つと決めた かごめ かごめ 葛籠の中夜雀 うしろに正面に 今は昔 手を引かれた温もり 儚さ残す優しい笑み 映畫(キネマ)のやうに 幻灯機(フィルム)を幾度も 巻き戻して 常世の果てへ届かせる 泪 朱く染まつた 月は満ちて 今こそサア償ひの刻 怨嗟(えんさ)の雀が嘆く 呪詛(こえ) ひとつ、斬り咲くは貴女のため ふたつ、拉ぐ(ひしぐ)は修羅の妄執 魑魅魍魎を両手に携へ 仇を討つのは 悲願華