氷菓子を溶かしてしまって このまま消えてなくなる前に 甘い夢はまだ醒めないままで 夏は嫌いだって言う僕の手を引いて 君は笑いながら駆け出した 冷え切った心臓に体温が染み込んで 少しだけ胸が痛くなった 君が分けてくれた青い氷菓は 嚙み切れなくて 海風の運ぶ夏の蜃気楼に 絆されていく 氷菓子を溶かしてしまって このまま消えてなくなる前に 揺れる陽炎に身を 焦がしてしまっても どうか僕らこのままずっと 秋も冬さえも溶かしてしまえば 蒼い春まで いつか賞味期限が 切れてしまわぬように 凍らせて胸に隠した 永遠を願った僕の心は もうすでに溶け始めていた 君は気にも留めず 嬉しそうに氷菓を頬張った 青空の視線が僕の網膜を 焼き付けていく 氷菓子を溶かしてしまって もう味わえなくなる前に ありふれた今日を忘れ 去ってしまっても どうか僕らこのままずっと さよならさえも溶かしてしまえば まだ醒めないままで 氷菓子を溶かしてしまって このまま消えてなくなる前に 揺れる陽炎に身を 焦がしてしまっても どうか僕らこのままずっと 秋も冬さえも溶かしてしまえば 蒼い春まで