幼い僕の 手を引いて 連れてってくれた 縁日 焼きそば ねだって 食べたあと ソースを拭う手、化粧の匂い 風邪をこじらせ 寝込んだ日 リンゴをすっては 絞ったり 夜中も 眠らず そばにいて 額に触れる手、一番の薬 母さんの手 もいちど つなげるものならば 母さんの手 つかんで はなさないだろう 言えなかったよ 言えなかった… ありがとう 一人でうちを 出てく朝 内緒でくれた 小遣い 遠くの 角で 振り向けば 静かに払う手、「さっさと行け」と つらくて逃げて 帰った日 こらえた涙が こぼれたよ 何にも 訊かずに 飯を出し 背中をさする手、余計に泣けた 母さんの手 しわくちゃに なってしまっても 母さんの手 今でも ずっといつまでも 忘れないよ 忘れない… ぬくもりは ありがとう