日の下ではあたたかく、 影の下では冷えこむ 夏とは様相の違う気候が、 心すらも衣替えしていく 寺を巡り、抹茶を飲みたい とパンダが渋いことを言うので、 京都へと向かった 行きの新幹線で彼は走り過ぎていく 景色にずっと夢中だった 楽しいか、と問うと、さあね、 などと嘯く 古都は、荘厳で、劇的で、 そして人が多く、ひどく辟易した 早く帰りたいと何度も思いながら、 パンダが行きたがった場所は全て 回った 疲れた 疲れたのだが 産寧坂で転びかけた私を受け 止めた、そのふわふわの腕だけは、 得がたい体験だった 帰りの新幹線にて またも景色に夢中なパンダを 見ながら、 長生きしたいと強く願った