貴方のような牙を持たず 貴方のような爪を持たぬ 私たちは全てを解りながら 大地を駆けて 大河を越えて 泣き笑う 多くは望まないから 遠くなる明日を下さい 雑草を食い尽くして 命懸けの大移動 道草食わず歩を進めていく 食われて腐る者も居れば 雨に紛れて泣く者も見える 途方もない暗がりを往く 貴方のような牙を持たず 貴方のような爪を持たぬ 私たちは全てを解りながら 大地を駆けて 大河を越えて 泣き笑う 春の風はいつでも 優しい訳じゃないが 明日を見る者の背中に風光る 近くなればなる程に 遠ざかる癒やしの森は どんな所か頬を締めて あそこに往く為に 泥も辛酸も飲み干して 一歩一歩重ねた どうか辿り着かせて 明日に備えて眠る者も居れば 星空に手を合わす者も見える 眩む程の明るみに行こう 貴方を見れば心荒む 貴方見れば憧憬抱く 私たちは全てを解りながら それでも駆ける 辿り着くまで駆ける 私たちには鋭い牙も爪も 無いからただ駆け続ける 怯えながら 大地を蹴りつけ 大河を越えて生きていく 背中押すような朝陽が差す 前を見れば影が映る あぁ生きてる 昨日より大きく見える 追い越すように 緩めることなく駆ける 春の風はいつでも 優しい訳じゃないが 明日を見る者の背中に風光る