Track by井上昌己
学生だったあの頃は 古本屋が並ぶ町 そして私は恋を知る 物語を読むように も一度 古書の町で 会えるのなら 話を 聞かせて 銀杏並木の喫茶店 色の褪せた全集を むずかしそうな顔をして 何時間もながめてた も一度 古書の町で 探したいの 二人の 続きを 就職というピリオドに 志を捨てた人 そして誰もが淋しげに 古い本を閉じてゆく も一度 古書の町で 会えるのなら 話を 聞かせて 遮断機のない踏切の 向こう側に あなたがいるようで...今でも