ああ 風が吹いた 細く絡まる私の髪は とめどなく 北風に引き裂かれていった ああ ただ見ていた 左脳から右脳に流れていく 私のフラッシュメモリー 消えてゆく花火みたいな 翳りゆく ニキシー管と 待ち望んでる 電池切れのよう 二人して夜道に消えた 肌寒さ抱いて 凍りついていた 出来心も今は静かに消えた 私だって楽に生きたいぜ 蒼い海の中で 揺れてる生き物のように 地に足がつかないよ 遠ざかる Interplanetary Craft 戻らない 分かりつつある 魚のように 踊らせるシナプス 水面を駆けて逃げてく ぐらつく夕暮れ 俺も気持ちわかるよ なんて言わないで 気持ち悪いから 時を止めて 一呼吸して 眠くなっていく 夜の美術館で二人 言葉紡いだ階段の あの時投げ捨てた気持ちも 今なら全部わかるのに ああ 風が吹いた 短くなった私の髪に 蝶が止まり ラジオが突き刺さる 用意なんてしなかった スニーカーで歩き出した 私は私だけの世界を越えていく