夕食のあとはテレビを消して二人の好きな音楽をかけようか。照明はテーブルの上で微かに揺れるキャンドルの炎だけ。二人並んでゆったりとソファに背中をあずけて満ち足りた気分に浸る。ゆっくりと流れる蜜のような時間…
‘ねえ’ きみが云う。‘あたしたちほんとに気が合うと思わない?好きな食べ物も好きな音楽もぴったり一緒’
‘ぴったり合うのはそれだけじゃないさ。分かるだろ?’ 云いながらぼくはきみの肩に手をまわし優しく引き寄せる。
‘やだ。あたしに何云わせるつもり?恥ずかしい’
‘恥ずかしいことなんてないさ。アレが合うなんてこと本当は滅多にないことなんだよ。ぼくも今まで何人かと付き合ったけど正直にいってきみが初めてなんだ。アレが合うなんて’
‘ほんとに?うれしい。ねえ あたしたち今まで何回したか知ってる?あたしちゃんと数えてるのよ’
‘へえ何回?’
‘やだ。へえなんて。シャレのつもり?99回よ’
‘そんなに?ギネスブックに申請しなきゃ。じゃあ100回めに挑戦しようか?’
‘うん。ちょっと待ってね。お腹が張っちゃって’
‘ぼくもさ’ そういってぼくはニヤニヤしながらおもむろにジーンズのベルトを弛めた。
一瞬の沈黙。
二人は息を止めて見つめ合う。お互いに秘そやかな企みの表情を浮かべて。
次の瞬間二つの大きな放屁の音がユニゾンで部屋中に鳴り響きキャンドルの炎がずっこけるように揺れた。
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