嗚呼! 何やつても浮かんでこねぇ! 娑婆、利楽、書けない、書けない。 で、代表作ひとつありゃしない。 誰も知らない大作家。 そんぢや一切ガッサイ川に身を 投げりゃあ、 此の名も知れルカ!? ハァ……。 十年に一度の天才とか言はれて、 ちやほやされてみたいわ。 誰かに成りたかつたのに、 誰にも成れずに、 今ぢやしがない娯誌筆[ゴシップ]、 量産、量産、量産。 1・2・3……ぢやなくて、 四の五のRock! 置いて往かないでくれよ、世界。 ほら、型ちだけの才能。 前ならへの流行。 好きな儘在りたいのに、 嫌つちまひさうだ。 今日も時代遅れのペンを走らせて、 天才[おまへ]のフリをしたいだけ。 解らない(嘲笑)何々? 期待の新星は、何とまだ未成人! 其れに比べ、コチラ歴は十と五年。 ワタクシ、未だ無名なんて醜[み] つともねぇ。 十で神童、十五で才子、 二十過ぎれば只の一般ピーポー。 「人は皆同じ」つて、誰の戯言? 然るに、世迷ひ言の羅列。 夙に夢尽き、露と消えゆく。 きつと、其れだけ。 1・2・3……ぢやなくて、 四の五のRock! だが今に見てゐろよ、世界。 ほら、体心吐いて。涙血も尽きて。 空ツカラになるやうな、 今生の傑作を。 そんな字極[じごく] を書けたなら、 もう最期だつて善い。 天才[おまへ]に成れるものならば。 欲望をカネで買はうが、 酒に溺れようが、 ”書く” 其れでしか自分を、もう満足[みた] せねぇんだよ。 また時代遅れのペンを走らせて、 気が付けば午前0時。 今夜は、弌つ書けさうだ。