霞が浜に澱下ろして トドメは奥の森へ消えていく 街にはさざめきが戻ると 通りを過去の光が駆けていく 祈りの傘を開こう 冷たい手 賽の川を下ろう あるはずの河口 どこだか 波浪を海は忘れて呼び寄せて 嵐が浜に寄り落とした ほつれたさざめきの琥珀 祈りも舵も捨てよう 告げないで 思いを掛けずまた会おう 針を落とす 穴あきの記憶 雨開けの雲を追いかけ 二人は何を決め兼ねている 離れの星で夜が明ける 変わらないもの 踏み分ける音 移ろいを目で 抱きしめて 試されている 足りなさも 船底で不治と眠るだけで過ぎようか ほら あの琥珀も 拾って拭うまでは 誰にも気付かれぬように まだ聴こえるよ 時を越えられぬさざめきが