彼女の寝息を確かめた後 部屋を出て夜を吸い込んで 「戦争が起きたらどーしよー」とか 脈絡のない事を考えてた 誰も知らない所で虚しく 色を変える夜の信号は まるで今の自分そのものだった もたげる首の角度まで同じだった 予定のない今日の月の形 夜にかじられた様なそんな形 あの月は何て名前なのかなぁ 理科の授業もっとちゃんと 聞いとけばなぁ 古い人形を抱いたまま眠って 目が覚めたら彼は部屋にいなくて 「浴槽のお湯流したっけなー」とか 明日の朝食の事を考えてた 守られるか無視される以外には 用途の無い夜の信号は 「あーなりたくない」 と想う女子そのものだった 不憫そうな姿まで同じだった 星屑の点を線で繋ぐ様に あなたとの日々も意味を持つかなぁ 臥街月が出てるからでしょう やけに叙情的になってしまうのは 部屋に帰れば、彼女はまだ眠ってて 床に落ちた台湾製のそれと目が合う アパルトの中の恋人達 愛し合うと云うには悍ましい程 醜い行為に果てた後で ざらっとする後ろめたさは何だろう 例えばその薄汚れた人形 ボタンの目でいつも君を見てる 君の薄汚れた人形 毛糸の唇で笑っているよ 所詮、中身はスポンジと綿だし 涙拭い取るそのオンボロみたいに 僕はなりたい