濡れた言葉を一つ二つと並べる 窓際の陽の下 順に乾いて形を成す ふんだんな分断の誇張と象徴 遅まきながら気付いたのは 今までが帰納したから なにか恥ずかしいのは 抜きん出たと至って 思ってしまったから 抱きしめる程の弱さもなく、 突き放すような強さもない 微々たる近似値を追い求める先に 幸福はあるのか 新装版案が欠けた 本の縁取りを誤魔化して 昨日のこと思い出すのは訳ないのに 緊張感がさんざめく 虚仮威しさえも閑却して 愛おしいと思い描くのは訳ないのに 口に出せば堪らない 悪臭を放ちながら 日々を彩る美しさの輪郭を 象ろうとしている欲 そして忌みのない意思を 倍していく人生が下から キリのない地味が最たる支持体に なると知っていて今更 日々を毎、日々を毎、 善へ改める義理を掬い出す手に 巣食う冷たく笑う鏡を割る 悪さえも携えていない 大きな陰りが土を湿らせたまま 退かないような感覚が傍にいる 仄かな日和を頼りにする 祈りの中の怒りや痛みを消している 浴び過ぎた悔やみの累積を知る 動けなくなる選択肢の数 進化のピリオド打っても暗闇じゃ ずっと帳の降りた夜、終わり 貧困な感覚だけの判断が いつか信じられない朝が来て 昨日や夢さえ朧気に 溶けゆくだけの耳の奥に 振動が頻度を増して届こうと 過去形の運動、可塑性の合同だ