狭い空 燻んだ青 まだ思い出せる波の音 不意に出てくるのは デニムの折り目に隠れた白い砂 袖を通る冷たい空気が 日焼けの跡を消してゆく 大人のくせに 俺も馬鹿だったな でも笑ったな 貴方を知らないまま 夏の魔法 解けないように 外した時計 何もない世界で 出会った二人 今も残るのは眩しい日差しの 温度だけ 広い空 海の青 服のまま飛び込んだ二人 どこまでも続く空の向こうに 行き交うだけの暮らしを置いてきた 「みんなきっと荷物を降ろしたくて ここに来て少し休むんだね」 南風に 負けそうな貴方の声 笑ってたけど 寂しそうだった 夏の魔法 解けないように もう少しだけ 月よ照らしていて 似たもの同士 愛しさに気付いた指先すら 触れなかったのに 全てを知ること怖がって 「いつかまたどこかで」なんて 頷き合って サヨナラした夜明け 俺だけかな ネオンの中に 探してる あの日の忘れ物 同じ空 同じ月の下にいるのに 会えないなら 運命とか 信じないように 心に鍵 かけた夏の終わり 人の波 繋がった世界で知らないのは 貴方の体温だけ