夜明け並みに冷たい風が冴え渡った 腰掛けたベンチかすめる明け方のプ ラットフォーム 長いことここにいたようにも取れる 影は 実は風前の灯と 二人は知っていた 数分もすれば暗がりから出てくるあ いつは鉛の塊 鋭いスピードでやってくる そうやって始発が君をさらってく 何気なく肩に力入れ まあいっか・・・またいつか・・・ 人前ではそう言い切れるのに 幸せって思いがあるから 心はそれに酔いしれていたから 素直じゃない僕をなんとか丸め込ん だ 季節は巡って 薄着で出歩くころ 同じようにして訪れる明け方のプラ ットフォーム またあいつが仰々しい音立ててやっ てきた 君は慣れた素振りで軽々腰をあげた んだ 繰り返していれば 徐々に僕もすらり言えるはずだ ったんだ 「またね」遮るようにして閉まるド ア またもや始発が君をさらってく 泣かないって決めてたはずなのに 見送った 手を振った なんと情けない顔を伏せた 幸せって思い出なんかより 君をあと一度だけギュッとしとき ゃ良かったな 振り返ればトンネルに消えていった アーティスティックに切り取られた 思い出は 今や気休め以下になっていた 諦め悪かった僕もついに愛想を尽か し 一足遅れの後悔だけがそっと寄り添 った いつもそうなんだ懲りないんだ いなくなってから追いかけるんだ ギュッとしたかった相手は 始発が連れて行った そんなもんなんだ この涙が幸せって証と思えばまだ 頭の悪い僕でさえとりあえず落ち着 くかな? そう思う努力をしてるんだけど まだまだだめなんだ まだまだだめなんだ 幸せって思い出なんかより 君をあと一度だけギュッと 幸せって思い出なんかより