今年もまた来たよ ふと見上げる季節 空に伸びた枝の つぼみたち ほころんだ 「まだ寒いんだから 咲かないで」 つぶやいてた 君を笑って見ていた夜 はらり、はらり、はかない桜 咲いたあとは 散ってゆくさだめ あの夜 君の隣で 一緒に祈ればよかった ああ 白くやわらかい君 冷えた手を 離したくなかった 咲き誇った花が 零れ落ちてくのを ただ見つめていた 春の月 雨嵐が過ぎて 朝 この道ゆけば 桜の葉の香り 胸の奥 痛ませる 心の真ん中は 甘い言葉 いっぱいでも いつも何かで 覆っていたよ はらり、はらり、はかない桜 咲いていれば 愛されるのに 季節を止められなくて ただ花びら ゆくえ 見てた ああ こんな夜が来るたび 僕に降り注ぐ桜の雨 心残りばかり 繰り返し想うよ あの夜は終わらない 今も はらり、はらり、はかない桜 ひらくまえに 時が止まるなら あの夜 君の隣で 一緒に祈ればよかった ひらり、僕をあきらめた君 冷えた手を 離したくなかった 咲き誇った花が 零れ落ちてくのを ただ見つめていた 春の月