冬化粧の街に届いた、 二度目の報せに色めいて。 騒ぎは長くは続かずに、 水面に今も揺れているのは。 こんな哀しい記憶だけ。 淡い景色が流れ去って、 冷たい朝の風に乗って。 名前を呼べば、 白い息だけ立ち昇るのは。 もう、過去の出来事。 君は幸せを目の前に、 不幸せの定義を探し、 長く歩む足を傷つけながら、 薄く滲む血をなぞる。 あの日見ていた雪の狭間に、 面影を見たままの私は、 通り過ぎゆく人の形に君を重ねて。 重ねて。 消えかけた街灯の灯、揺れて。 投げかけたあの日の影。 「約束をしよう、流れゆく血潮で」 さんざめく昨日の喧騒を忘れて、 君が笑うんだ。