嗚呼、 この身に落ちる陰影の上へと立ち、 嗚呼、来たる地鳴りに捧ぐ。 僕は絵画へ沈み、融ける、宙へ。 風に舞うオートリテエの中。 水面浮かんだ揺らぎ、その眼に風。 彼方走る地鳴りへと。 孤独な夜の酔も醒めれば、 飼育された人に捧ぐ歌声が、 騒ぎ出した朝を隠す。 紅い炎に代えて、 渇いた布を身に纏うと、 記憶の混濁のようで、それだけで。 憧憬の上に塗り込めた自信や、 (街を育て上げた栄養剤や、) にべもなく断たれた望みの糸や、 (うっすら面影だけを残す 悪意や、) 肌に残る跡をなぞるだけの日々や、 (騙る 真意に追いつかない愛情や、) 風が吹く街を急ぎ往く足音や、 (そら恐ろしい空蝉たちや、) 私はそんなモノの上に在る。 (僕はそんなモノの上に在る。) うわぶれた軌跡に終わりはないよ。 天をゆく白線が 揺るぎのない慈悲で、 怯えていたその肩に水滴を 落とせば、 かえり見ぬ雫越し 迫るあの地鳴りを、 記憶から記録から、 追い出したのだ。