あぁ奪われまいと駆け擦ろうとも その足は地を踏み初めて間もない 穢れ纏う者に手を差し伸べるのは? 裂いて取り出したらば 臓は同じ色だろうか 充満てゆく民の言葉 澱み濁る街並 麗しの要塞はただ 退屈な箱庭のようで 「夢?…は、まだ亡いわ。」 処されるのは誰か 破滅の鐘 何を以て罪として裁くのか 掃いて捨てられた残骸を横目に嘆く 清く生きていればこそ 「それは この世に在って善いモノ?」 塞ぐ眼に民の要求 哀れで穢れで愚かで 美しく咲いて燃やして 同じ弔いに沈めて ――この世界を 浄化して差し上げましょ―― 「水がないなら葡萄酒を。 朝が来ないなら夜を。 誰かの所為にするのは 容易な逃げ方だこと…」 充満てゆく民の言葉 溢れ出した絶望 「焼き払う命を下して、 何を罪だと仰るの?」 冷たい石の壁に 月明かりが射して 「何故かしら恐怖はない… 神が与えた運命ならば従おうか。 憎む対象もない。 さぁ、晴れゆく群衆を この最期に見せて…!」