不揃いな花束を海に投げ込んだ。 揃わない二人の最後には映えた。 「大事にしてくれているのは わかっているんだけど。 でもね。多分、 君の好きな人は私じゃないね。」 二人は潜ったまま、 浮いている花束を 何も見えない夜の海で探した。 ありもしない幸せを 探しているようだった。 その瞬間が、 幸せだと気づけなかったのだ。 「口にすれば、 なくなってしまうような 二人だったね。 友達に戻るのは簡単だった。 簡単なだけだ。」 大事にしていたものが 未だ残っているくせに 今はまるで腫れ物のように触れ、 目を背けた。 信じていた言葉が、 信じられた言葉が 事実さえも嘘に変えてしまって 息継ぎをしようとして、 海をあがってみれば そこには隔った花束。 私たちみたい。 二人は黙ったまま、 流される花達を 靄が覆う朝の中見送った。 一度持った幸せを 手放すような仕草。 水面に涙が浸かっていくようだ。