Track by友川かずき
まっかっかの お花が咲いたと 三つになる 子供が言う 声すら凍る 北の村の 雪降りやまぬ朝 子供に手を引かれて 表に出てみたらば あたり一面の その白い花壇に まっかな餅紅の 大きな花が咲いてた 身もすくまんばかりの 鮮やかさだった ぶるんと鳴る 杉の木立に 黒い鳥の群れがある 帰り来ぬ 時間と距離を まるで呪ってでもいるようだ ふと思い立って 雪のダマをつかんだら 遠くで確かなものが 突き崩れて行ったよ まっかな餅紅の 花が散るように 悩む暇さえ背にとけてゆく