ママ ママ ママ 海の中が明るくなってきたよ ゆれてるコンブが見えるもの ヒラメが一匹 ブツブツ言いながら死んでいったよ 波間からやってくる朝焼けは プリズム百万個の空を作り ボクをゆらゆら震わせる ブリが一匹 力つきてグラグラ落ちてきたよ ママ ママ ママ 言われたようにしているよ 海の中がもやもやしてきた時 ボクは岩にしがみついて 何も考えないようにしていた このもやもやが恐ろしいものだなんて そんなこと考えちゃいけない ごまかせばいいんだね ごまかすんだ そう ごまかすんだ カサゴが一匹 骨が曲がってプラプラしてるよ ママ ママ ママ どうしてこんなことになってしまったの みんないなくなっちゃった 海の中は青いのに 白い雪がふりつもる イソギンチャクはうなだれて アメフラシは溶けてしまった そしてボクの指先は とても痛くてジンジンするんだ それでも ごまかすんだね ママ ママ ママ あのもやもや いつから始まったんだろうね 大事なことはじっとしていることなんだね 最初から忘れてしまえば もやもやは消えてしまうから だけど ママ 少しぐらい返事をしてよ ボクだって痛くて痛くてしょうがないんだ それなのにママったら 白い雪の中で動かない ママ 目が濁ってるよ あぶくを吐いてよ あぶくを吐いてよ なんだかボクは ごまかすのが苦しくなってきた これはきっと本当に起きていることなんだね ママ 誰もいなくなってしまったよ この堅い岩の上でボクとママだけだ いったい誰をごまかすの もうボクとママしかいないんだよ それなのにママったら 白い雪の中で動かない ママ 目が濁っているよ ママ 目が濁っているよ ママ ママ ママ ママ あぶくを吐いてよ あぶくを吐いてよ あぶくを吐いてよ あぶくを吐いてよ あぶくを吐いてよ