刑務所から帰ってきた平日の昼 自分のほっぺたをつねり現実と知る 「遅くなったなぁ」と ゲームボーイカラーを渡され 僅差ではあるが そっちの喜びが勝った 面会を抜いて5年ぶりの 出会いだったが 「いつまでゲームしてんだ?」 って早々怒られた 仕方ないでしょ? 初めて手に入れたゲーム機 一家団欒 囲む食卓は全クリ 「学校にはなんだって忘れても良い が、命だけは必ず 持って帰って来い」 「上からでも下からでも どっちだって良いから 一番を取ってこい」 グローブのように、 大きく分厚い手のひらで 俺の髪をくしゃくゃにして 親父はこう言った 「良いか? 女性に手を挙げて良い瞬間はなぁ こうやって頭を撫でる時だけだ」 地元のスナックでは評判が悪りぃ ママも愛想尽かすほどの女ったらし どこでGETしたんだよ センス無えスタンプ 下手くそな文章は 親父なりのスラング 最低で最高のクソ親父へ 今感謝を綴っているよ嘘も無しで 不器用な愛 変わりなどいない 親父のカカトくらい固めてくライム 連発するボケの薄い チャチな親父ギャグ ジャイアンツが負けた日には すぐに怒鳴り出す いびきクシャミやかましい シャツは全てIN パンツ一丁でうろつき 俺と似たり寄ったり 寝てると思って チャンネルを変えた瞬間 「今見ちょったっちゃが」 なんて嘘をつく 休日、親父とTSUTAYAに向かい 借りたはずのウルトラマンが 帰り着くとVシネマに変わってた 腹いせとして、 「母ちゃんには内緒だぞ?」 って夜中呑みに出てたことも バラした日が懐かしい 母ちゃんの愚痴は いつもいないとこで だが仕事場の愚痴だけは 聞いたことねぇ 喧嘩して夕飯代わりの非常食 クソ餓鬼の俺が見ても それはさすがに気の毒 結婚相手を選ぶセンス三角 かかあ天下に凌駕された亭主関白 地元のスナックでは評判が悪りぃ ママも愛想尽かすほどの女ったらし どこでGETしたんだよ センス無えスタンプ 下手くそな文章は 親父なりのスラング 最低で最高のクソ親父へ 今感謝を綴っているよ嘘も無しで 不器用な愛 変わりなどいない 親父のカカトくらい 固めてくライム 口より先に 手が出てしまう職人気 職人気質だった親父からの拳 その手で、作れなかったプラモデル を作ってくれたあの日も 仕事終わりクタクタでもしてくれた キャッチボール 何にも、生きる術なんてものは 教えず ただ自分の生き様を 俺に見せてくれた 俺にとって最初のヒーローは ウルトラマンじゃなくて 親父だって言う日が来るとはな 飛行機に一度も 乗ったことが無いなら 俺も乗ったことのない ファーストクラスに乗せてやるから 野球観戦しに行こう東京ドーム それでジャイアンツが負けた日には 相当ショック? 親父があの日俺に言った 言葉覚えてる? 「俺にはラップは分からん、 何言っちょるかも分からん」 「お前が武道館に 立とうと立たまいと、 お前はとっくに俺の誇りだ」 地元のスナックでは評判が悪りぃ ママも愛想尽かすほどの女ったらし どこでGETしたんだよ センス無えスタンプ 下手くそな文章は 親父なりのスラング 最低で最高のクソ親父へ 今感謝を綴っているよ嘘も無しで 不器用な愛 変わりなどいない 親父のカカトくらい固めてくライム