ある日、道に落ちていたのは 誰かが落とした怒りだった。 僕はそれを鞄に入れて大切に持ち 歩いていた。 怒りはみるみる大きくなりいよいよ 持てなくなった。 急にそれを誰かにぶつけたい。 そんな衝動に駆られた。 雑居ビルの屋上で見上げた空。 古い雨は降る。 変わらず僕達はがんじがらめ 奮い立たせた愛情は行き場知らず 怒りになる。 ある日、道に落ちていたのは 誰かが落とした怒りだった。 少年はそれを強く 握ってやさしさに変えてしまった。 そして、 そのやさしさを少女に渡す。 この駒をちょっとずらす それだけで全部違う この駒をちょっとずらす それだけで全部違う 良くも悪くも 古い雨は降る。 変わらず僕達は不器用だ。 持て余した怒りは悲しみだった。 やさしさだった。 頬のこけた道、歩いては笑う。 苔の生えた道、ぬかるんで乾く。 雨はやむ。単純な答えが今 光になる。 この駒をちょっとずらす それだけで全部違う この駒をちょっとずらす それだけで全部違う