交差点のダンスフロアは今日も 何組かのカップルで静か 居心地良く1人で立ちん 坊をしていると 向こうの屋台で私の百年の恋が 売られています。 つまりレモンの匂いが鼻から 脳に刺さり百年前の記憶を 思い起こさせるのです。 信号の明かりが緑色に照らすそれは 長い間そこにあって、 それを買おうともしない私たちを 逆に眺めているようでした。 あの売れ残りは限りなく脳裏に焼き 付き あの筆おろしは限りなく 性体験でした 夜景、ビル明かりのヤラセ 演出家の無関心と情景の素描 舞台なしでは成り 立たないあの2人を 客席から見つめているのは私、 そう私 私には向こうのビル明かりしか 見えていない… 例えば恋と愛どちらも 捨てきれないから 恋愛なんでしょうか? 変態なんでしょうか? 果たして永遠なんでしょうか? 酸いも甘いも知らぬまま 不治の病と愛を崇めるのは 滑稽でしょうか、 しかしその愛は今意味を 持たないただの 言葉になったのです。 あなたが何を 考えているかわからないのなんてい つの時代も同じで今はもうよっぽど マスクが便利な時代です。 けれど結局最後にはこうして 首元に吸い付いて意思疎通を 図りたいのですからそうなればもう 吸えるだけ吸い尽くして仕舞えば 心地よいものなのです。 ああ、 白い陽に照らされたその首筋は 今でも言葉の通り 道なのでしょうか。 意味を 持たないただの 言葉だとしてもそれを吐き出しては 聞き取り吸い付き太ももを撫でいく 交差点のダンスフロアのように 変わらずにそこにあるものたち 夜の訪れを確信する 夕日の刺すその普遍的角度 しなだれる 女子高生のその普遍的角度 愛を誤魔化す 女の目の逸れるその普遍的角度 全て形を持たない記憶だけが 自分めがけて交差しその匂いを 嗅いだ俺はもう 踊ることしかできなかった 宇宙に…なっています。 I’m about to get an erection right now… ふと周りを見渡せば 交差点のダンスフロアにはもう 誰もいない。 みんな俺を笑っていた、 確かに笑っていた、 交差点のダンスフロアは西日で 信号の色はもはや 視認できなかった。 交差点に一人の俺はもう 踊ることしかできなかった。