次のページ捲るのさえ億劫 王冠 全部は見付からないよ ボクくん やかんの沸いた音を少しだけ 無視して どれくらいかの同じ時間を送る 気だるさこそが日常だと 言い聞かせて 八畳間を持て余してる四肢 この静寂に被写体として 優れてありたかった のらり伝わる深煎りの香り これ以上うつろに深入りすると 帰りが分からなくなる また変わりない顔で会えますように 郵便受けの町内便りと 階下で回る洗濯槽 どこかでする笑い声と「下手くそ」 の声が 換気の為開けた窓から入り込む こぶし大までのミスなら忘れよう 陽当たりは明日へと角度を移し 体から離れ もうすぐ消ゆ 町の確かな営みに慌てず 細いくせに目が乾き涙が出る 今日はなんにもない素晴らしい 一日だったよと 書き残すのすらも勿体ない 勿体ないや 白の上にまた白を塗る無意味だと 思うことすら 素晴らしく表したマレーヴィチ いつもより早く目が覚め いっそのことって部屋から出る 町はまだ眠っている きっと君は ひらがなみたいな寝息を立てている 良い具合に気分が落ちて心地良い 文字に起こすこの静けさ及び あの白む空を描き 次のページから白紙が続けば良い 今日はなんにもない素晴らしい 一日だったよと 書き残すのすらも勿体ない 勿体ないや 白の上にまた白を塗る無意味だと 思うことすら 素晴らしく表したマレーヴィチ 今日はなんにもない 今日はなんにもない素晴らしい 一日だった