微睡む日暮れ前 溢れるマーケット 青果売り場 今にも凍る肌 店先で溶かした 花弁しぼみ土に還る 寄る辺なくただ伸び続ける朝顔 もうじきに降る一雨を避けるように 足早に歩き出す 執念焦げ付くバターの香りと 未熟な果実で瞬くときめき 消えない酸味は砂糖で殺して 誰の元へも 賑わう駅前の 古びた喫茶店 罪滅ぼし 今にも切れそうな 細い糸手離す 花開く日を待ちわびていた 寄る辺ないつる伸びるように手探り で どこからきたの甘い水誘われるまま に 足早に歩き出す 執念溶け出すうるおう香りに 湧き立つ若葉の瞬くときめき ほのかな酸味の果実を一口 誰のものでも 執念焦げ付くバターの香りと 未熟な果実で瞬くときめき 消えない酸味は砂糖で殺して 誰の元へも