オナモミ投げて お土産だよ 気づかれない様に 背中につけた 渋い林檎を 盗んで齧る なびいた布切れに怯えて逃げた ああもう 冬がくるよ 鼻先を刺す様な 風の匂い ああもう あの夏には 二度と戻れないと知っていたのさ 子どもながらに 知っていたのさ くわえ煙草 舗装された道 月は怖いほど 赤く腫れて 親の辛さが 押し寄せたのは 網戸すり抜けた 味噌汁の匂い ああもう 冬がくるよ 胸を刺し殺す様な 君への愛 ああもう あの夏には 二度と戻れないと知っていたなら うぬぼれる前に 知っていたなら 風の輪郭 風の轍 遠く振り返る その時には 必ず風が 知らせてくれた 忘れそうになっても 突きつけられた ああもう 冬がくるよ 鼻先を刺す様な 風の匂い ああもう あの夏には 二度と戻れないと知っていたのさ 子どもながらに 知っていたのさ 知らぬふりをして 歩いてきたのさ