風車、林檎飴、 蟋蟀鳴く夜母は言った 「夜更けの黒猫は笑う」朧月照らす 障子の向こう瞳はじろりぎろり空を 描く 三白眼が収めた母は井戸で眠る 黄金色の空落とす林檎飴参道指差す 童歌 晩夏の夜に照らす提灯、 蛍が導くは浮世道 紫陽花が散る頃、 母が漏らした吐息を後に消えた 「月は見ている」 染まる地を踏み、 私は記憶で嘔吐した 歯型残る首を括る麻縄、 濡れた額を撫でる 「この結末はあまりに酷だ」と嘯く 黄金色の空落とす林檎飴参道指差す 童歌 晩夏の夜に照らす提灯、 蛍が導くは浮世道 ゆらりゆらり提灯揺らす影 能面に隠すは幼き赫う日々 白菊が咲く頃、私は居ない。 奇矯な日々を終えた 「月は知ってる」 障子の向こう、母はもう居ない 劈く悲鳴、爪先で立つ男は一人嗤う 枯れた紫陽花喰う背後に一月し、 林檎飴を拾う