蝉の声に誘われ 揺蕩うは夏の亡霊 それ見て窓を開ければ 気魂奪われ 群れの中 遠い目をして立ち尽くした 汗も冷えも感じぬ魂魄よ 求め彷徨うは誰か何処か 遠く嘆くは過去か今日の日か ヒグラシが愛しい 生人こそ正に幽 霊 田の蛙に消されるまで 長く短い夢 の中 恨めしや当ては時の流れ 幼少の未練と懐古心 求め彷徨うは誰か何処か 遠く嘆くは過去か今日の日か 花火が昇ってゆく 美しき虚 儚いままの現さえも 火花が開いたなら 全て呑み込んで夏の夜空に浄めてゆ く 光り消えてゆく それを見ている蛻 の殻 妖しくも近寄る事を拒まぬ闇に招か れ踏み入れる 嗚呼 怯える間も無く堕ちたら最期 時を巡り続ける 花火が昇ってゆく 美しき虚 儚いままの現さえも 火花が開いたなら 全て呑み込んで夏の夜空に浄めてゆ く 光り消えてゆく それを見ている蛻 の殻