夜の川 歩いてく 闇の谷 登ってく 墓場まで 背おってく 秘密 この石の上に 置いてゆく 勇気など 持つならば ここにいやしない つきささる 悲しさも 捨ててゆきたい この夜 黒いシェパード 君の吐く息は 一行の詩で ぼくの雲 風 みちづれよ 答えろよ 悲しみや 重い荷を はずしては 人の子は 生きて ゆけるだろうか 悲しみよ よう聞けよ 一行の詩 残せたら 山が燃え 沈んでも 生きた事に なるだろう 川の始めの 一滴を目ざして 一行を吐く君に吐く歌 恋人よ みちづれよ 雲と風だけ 身につけ 詩と歌を 登りつめ 川の始まりを 見るよ 恋人よ みちづれよ 雲と風をも 脱ぎすて 自分らの 尾の生えた 川の始まりに 流る