仕方の無いふりする 僕の小指を掴む 貝殻が揺れる 星ぼしが挙る 僕らにはひっそりと 小さな慈愛を 誰にも見つからないような 互いに囁き合うような 絹の擦れるような 時の巻戻るような 僕らにもこっそりと 小さな誓いを 遠くの方に見た 夜の魔術を ぼんやりと想い起こしながら 猿に似た顔をする 森のアレにも 薔薇のコレにも 劣ることのない美を前にして 数秒間、佇むのさ なぜなら無意識に交わす 穴ばかり目立つ手紙 背中から漏れる 微かな揶揄い 僕たちをひっそりと見つめた、光は 忘れ去られた日々が いずれ意味をも失くし 枯れる木々の根を数え直したら 僕たちはこっそりと潜めた吐息を 半年に一度 同じ空間に頬を寄せて 呪文唱えた 夢に似た顔をして 僕のあれにも 君のこれにも 変わることのない価値があれば 数分間、安堵するのさ 遠くの方に見た 夜の幻影を ぼんやりと想い起こしながら 大きくて素早くて 顔のない鳥 照れた感じで羽ばたく 昔の朝と 今の夕景と 割り切ることの出来る人が 数年間、得をするのさ