私が この世界から 消えたとしても、 一体 何が変わるというのだろう。 道路には 車が走り、 街には 電車が駆け抜ける。 子供たちは 学校に通い、 本屋には 本があふれる。 妻やわが子たちは、 泣いてくれるだろうか。 喜びばかりの人生ではなかった。 生きることも、死ぬことも、 深くは考えなかった。 家族を養えただけで、 私は あなたがたを愛したといえようか。 もう夕暮れの空を眺めることも、 夜明けの孤独も 感じられなくなるのか。 花の咲きみだれる春も、 蝉時雨の夏も、 プラタナス舞い散る秋も、 雪ダルマを子供たちに作った冬も、 私には巡っては来ないのか。 本当の愛なんて 今もわからない。 けれども私は 天使の羽をみた。 ああ 復活の時は いつか来るのか。 生きてもなく 死んでもない私が、 この世界から消え、 またこの世界に戻ってくることを、 待ってくれる人はいるだろうか。 夢のような、 めくるめく時間が過ぎ、 雲間から 新復活を目指す。 ありがとう 新しい命よ。 ありがとう 喜んでくれた人たち。 パンドラの箱の底に、 「希望」だけが残っていた。 ああ そうだ。 それでも「僕」は生きていく。 伝えるべきことがあるんだ。 夢のような話だとしても、 きっと誰かが信じてくれる。 さようなら 「昨日よ。」 さようなら 「悲しみよ。」 「僕」には 新しい一日が与えられた。 誰かを 思いっきり抱きしめたい! たとえ それが 誰であったとしても……。