まるめろの花の咲く頃に お前は生まれて来たのです 母さんが嫁いで 2年目の春でした 幼い頃から大人しく やさしい娘でありました 母さんが嫁いだ 歳を越えたなんて こうして目を閉じて 思い起こせば 憶えたてのカタコトで 母さん呼んだお前を 嫁がせる朝 こんなことを 母は思い出しています まるめろの実が実る頃 お前は嫁いでゆくのです 色深めるななかまど すてきな朝です しあわせは形でなくて いつも心にあるのだと 言いかけてふと空に 虹を見つけました そういえば私が 嫁いだ朝にも 母はやはり 庭に出て 花を見ていた どうかお前が いつまでも しあわせでありますように