涙をみせないように本を 片手にバスを待つ 生ぬるい風が吹いて ふわり栞をどこへさらってゆく 優しくされないように雪の冷たさに 隠したのに どこまで読んだんだっけ 揺れるバスのなかで泣いた いいよ、いいよ、泣いていいよ 栞のことはもう忘れていいよ いいよ、いいよ、 気にしないでいいよ また新しい本を開いたらいい 靴ひもがほどけていた しゃがんだら水たまりに栞 そんなこともあったなんて 頬を染めながら笑いあえたら 想像してみたらありえそうで そんな日はもう来ないんだろうな 風がまた吹いた いま振り返ったら 映画みたいになるんじゃないかなぁ なんて、馬鹿みたいな いいよ、いいよ、泣いていいよ 涙の跡で本を綴じたらいい いいよ、いいよ、 気にしないでいいよ また新しい本を開いたらいい 重ねたらほら癖も元通り