弧を描いた坂道を登ったら 遠い街が見えた あの景色とあの風にさらわれて 少し苦笑いしたんだ この先を曲がったら あの店があったような 正しさは時計に沈みゆくんだろうな 昔に 届かないな 風 呼び戻し 触れたいな あの時のかたちに 路地を抜けてあなたに追いついて ただ望むだけ 傷つかずに二人歩き続けること 霞んだ笑い事 道なりに進んでも 同じ場所に着かない 曖昧は余計に強く鮮やかになる 懐かしいな 短いな 酔い つまずいてしまっても あの時は崩れないままで 横目でかすめ 見た あなたの輪郭が 知らないうちに溶け 消えてゆくんだ 色を付けた記憶抜き取って 空に描くだけ いつかそれは私のうしろ影になり どこかで微笑むの 振り向いてもあなたの影はない 遠く褪せたゼロに この景色とこの風だけは心に 色と縁をくれる