人いきれ すり抜けた フロアライトの下 少しだけ顔上げて 呼吸整えた 変わり映えしなくもない 知らない君とまた ゼロ距離で火を点けた 昼間を棄てて 面白くもないのに 腹を抱えて笑ってた 浮遊した果てから 二人見下ろしていた 声を潜め囁く 出来合いの 愛なんて 今以外に 使い道はないのに 視界をちらつかせる 靄だけが 嘘を覆い隠して 足元に投げられた 鞄の中身みたい 読み掛けの小説と フレーバーウォーター 本当は吸いもしない 煙草の箱の中 なくなった本数が 罪の証ね 誰にも言えないから 秘密は煌めいているの 鈍く痺れた舌 捕まえてみせたなら 名前も知らないまま 溺愛の 優しさに 絡まって 足を引きずりあって 朝が来たら違う帰路を辿る 救いのない想いを 悲しい程 綺麗ね 手の届かないものは 声を潜め囁く 出来合いの 愛なんて 今以外に 使い道はないのに 視界をちらつかせる 靄だけが 嘘を覆い隠して 朝が迎えに来た