誰にも見つからないように ポケットにしまい込んだ ぼくらだけの季節は 誰にも見つからないままで 錆びついた色に染まって 思い出に変わっていく 空色 塗り潰したような ふたり占めした風景 あるいはいつかのさよならの色 このまま どこか遠くまで この声の行方まで 全部置いていくんだ 空っぽの日々を繰り返していよう 大嫌いな明日のこと なにもわからないままで 午前9時 君の手 濡れたアスファルト 世界を覆うのは 泣き止んだばかりの群青 「最低な夏が始まった」って 嘘みたいに君が笑う その言葉も色褪せてしまう前に 曖昧な空を見送って またいつかって手を離した 明日目が覚めたら 忘れてしまうでしょう 例えば 君がいなくなって ふたり占めした景色を なくしてしまいたいような 例えば 君といたくなって ひとり占めした景色が 遠くなっていくような 誰にも見つからないまま さよならだけを忘れないでいよう 大嫌いだった今日も 笑っていられるように 夕暮れ 伸びる影 ひとり分の足音 それでも見えるのは 君がいた街の色 最低な夏が過ぎ去って ぼくらを追い抜いていく あの日々がきっと 明日の空を染めるから 群青が夜に沈んだって またいつか会える気がしたんだ 明日目が覚めたら なかったことにしよう