筏(いかだ)流しが 水棹(みさお)にはぐれ いつか身につく 三度笠 罪でござんす 仲乗り新三(しんざ) 可愛いあの娘と おふくろさんに 詫(わ)びる旅路に 雲が飛ぶ 木曽のナー仲乗りさん 愛し新三さんはナンジャラホイ どこに行ったじゃやら アアン渡り鳥 あれから六年 俺らすっかり 変わっちまったが ここはちっとも 変わっちゃいねぇ 故郷っていいもんだなぁ 生まれ在所(ざいしょ)の 落合宿(おちあいじゅく)で 乙(おつ)な文句の はやり唄 胸に沁(し)みるか 仲乗り新三 人情七坂(なさけななさか) 母恋い峠 越えりゃ懐かし 里あかり それじゃこれだけ お願(ねげ)えしても 逢ってやっちゃ下さらねぇのか 無理もねぇや 今夜はこのまま黙って 山を下りて行きやす だがおっ母さん この次帰って来る時ゃ 必ず堅気になって 帰(けえ)って参(めえ)りやす どうかそれまで 達者でいておくんなせぇ 板戸(いたど)一枚 おふくろさんの 顔も拝(おが)めぬ 罰(ばち)あたり 錆(さび)を落として 仲乗り新三 後(おく)れ月夜に あと振り返り 今度逢うときゃ 堅気(かたぎ)だぜ