格子越しに眺めた カラスの死骸。 それはいつも、 寂しい記憶を犯す。 罪を重ねた略奪者みたいさ。 声は届かない。 叫んでも叫んでも届かない。 孔子は声を荒げ、 「汗をかけ」と説く。 それはいつも、 切ない憂いに満ちて。 酒に呑まれた密告者みたいさ。 決してしたくない、 等価値の取引はしたくない。 高い坂を登った。呼吸は乱れ。 隣の住人が怒鳴って愛を唱えてる。 「どうやら僕らだけが ひどい目に遭うらしい…」 そうして大きな間違いを運命は辿る 。 「どうやら僕らだけに 視界は備わった!」 「どうやら僕らだけは 世界に還るらしい!」 「どうやら僕らだけが 間違いに気付いた!」 声は届かない。