仄暗い海の中 あてもなく浮かんでた わたしを攫うあなたの背は 大きく見えた 果てのない旅路を 迷わず進んでいく 遠く離れた場所へ わたしを残して あなたの願いも あなたの熱病も その背に溶けたアスファルトの 匂いに運ばれて わたしがいたことも 忘れてしまうのでしょう それならせめてこの瞬間は その鼓動だけを 感じたい 水面に背を向けて ただ深く沈んでいく 夢なら醒めないままで この手を引いて 何もない世界で あなたと出逢えた 意味をいくつ数えても 戻れはしないのに 重ねた時間も 描いた点描も その瞳の奥の深いところ 居場所はないんだね あなたの行く先も 明日も知らないまま それでも今はその輪郭を 見つめていたいと 煌めく星たちの 光の中でずっと あなたと二人 游いでいたい あなたの願いも あなたの熱病も その背に溶けたアスファルトの 匂いに運ばれて わたしがいなくても あなたは進めるよ 胸に残ってるこの温もりは いつまでもわたしの 宝物