"さくら色の季節に 恋をしました" 君に宛てた 手紙の書き出し はじめて想いを 綴る右手は 少しだけ震えていた "好き"の文字を言葉にしてしまうと 君を失いそう それでも捨てられない恋心でした 片想い拗らせた 人魚姫は 陸の言葉をつかい 恋文を したためて 君に渡す頃には すでに季節過ぎていた どうしても君には 知っててほしい その瞳に惹かれ 恋してること その言葉 聞きつけた 魔女の魔法に かかってしまったけど はじめて見る世界は 美しすぎて 花びらは水面に 水辺のベンチに座り そよ風身にまとう 片想い拗らせた 人魚姫は いつだって真っ直ぐに 想っていた 自らの命と引き換えにしてでも 手にしたかった 愛を 木々が揺れてゆらゆら 今宵も舞う 寂しく流れる 風に身を任せ 片想い拗らせた 人魚姫は その恋を実らすことはなく 泡となり 風となり 天に還り 悲しみの涙 降らす