思えばいい 自由なら心は 自分に向けていればいい こじ開けられた柵は 遠い誰かの靴跡 捨てられたハードコート つぎはぎの金網 藪の奥へ延びる小径横目に ただ僕だけの場所を駆け回る 好奇心は猫をも殺す 木漏れ日と舗装という誤算 ウサギが落ちた穴の底の先には ただの集合住宅があるだけだった 一人想えばいい 孤独でなければ想像はどこにも 行けない 僕だけのエデンに息づいていたのは 遠い君の土踏まず 大きくなったスニーカー 茂るコートではまだ遊べるか 切り取られた針金はまだあるか 置き去りのボールは あの日に叱られていたら 変われなかった 思い出と恥は今もあの場所で光を 放っているのか 優しく見守って ただ一人想えばいい 身体が孤独である限り想像力は 一人にならない 顔も名前も知らない君が残した 息遣い いるのかどうかも分からない君が 残した連なり 遠い誰かの土踏まず たとえば僕にはそっけない町に住む 人のただいま たとえば図書館の本に引かれた線 たとえばテレビクルーが引き上げた 鍾乳洞 たとえばこの曲を人知れず 聴いているあなたも