摩天に伸びる幾何かの塔 軍粮精色した穴に潜む鴻 縮みゆく眼下、蠢く群像 見下す一握りの富裕層の嘘 地上数十米に運ばれる 酸いも甘いもがなる穿つ幻想 枢を貫く阿弥陀状の格子戸 ひとつひとつが張りぼて演舞場 あれ程の熱意が嘘の様 恒常性皆無の両棲類の相 起食働寝を規則正しく刻む日々 気付けば袋小路入り込む唯の迷路 この都市は何時でも悪平等 誰にも徹底した絶対零度 僕が去っても何も変わらない 僕が消えても誰も気づかない 傷ついてまた溺れて 簡単なことで躓いて 足を引っ張るが無能だね 薇狂った傀儡に台詞は必要無いね 緩慢歩みを寄せても 空しいだけなら もう傘もいらないや ぐんぐん登る無知達の内 才の芽の出る者のみ許される権利 淘汰されるのするのもみな同じ 行き場を失った漂流者の知己 いつもの場所へと午前一時 もう誰も猫も影も残っちゃいない そっと地図から消したんだ また独りぼっちに戻るんだ もう慣れた…慣れたかった 「ツカレタンダ」 単純なことができなくて 歯軋ることが非業だね 心を隠して読み合うなんて 必用ないね 意味なく理由なく群れても 寂しいだけなら もう誰も聞かないで 夢の壮観だってもう あまりに寒く冷えた世界 ただ息苦しい未来 消耗して融けていく命を 疲弊して死んでいく半身を 奢侈だなんて思わないでよ 「単純ナ僕デ悪カッタネ」 簡単なことが伝わらなくて 推敲なんて欺瞞だね 必死に繋いだ弖爾乎波だって 出鱈目だね 最期の仕舞いに殘るのが 「さよなら」だけなら もう傘も差さないで 泣き噦っては泣き噦っては 聞こえない振りをして 穢したのも壊したのも 全部僕の所為だって 償っても償っても 消せぬ罪を抱いても 此処に居たかったと気付いたんだ 貴方の言葉を今知った