はらり降っていた雨は止んで 振り返る午後未明に ひどくぬるくなったサイダーと 君が笑う 自転車で駆け抜ける ぼくと君だけの商店街 ほとんど空っぽのリュックには 財布に入れた数百円 たかだか百数十円の 8月を描いたサイダー 君に先に渡したんだっけ たしか 誰とでも分かり合えるような 心の傷をわかり合って うっかり「永遠」に なってしまったぼくらの夏 セプテンバー薄着の感情を 白いTシャツに隠して 見上げれば夕 雨上がりを永遠にしたかったんだよ サイダーのような空を君と見た あの夏の風景をめぐるセプテンバー タイムマシンがもしあるとして あの日に戻れるとして あの愛しいさよならを 何万回だってしたいよ 書いたら書いただけ なくなっていく思い出で こんなごまんとある曲を書く ぼくを許してくれ いや、許さないでくれ あの夏が掠れて消えてしまう ひどく遠い昔話になる 君の声も思い出せなくなる 描いた季節と同じように セプテンバー 君を歌っていたい どうせなら美しく書きたいよ 御伽噺で それでいいからさ あー、えー、きっと、そっか えっと、多分、きっと たしかここに自販機があって たしかここで隣に座って そっか こうして全部が たしかになっていく セプテンバー 薄着の感情を 歌う言葉に溶かして このさよならを あと何年間忘れずにいられるんだろ う サイダーのような空を君と見た あの夏の風景をめぐるセプテンバー 振り返る 君が笑う